報告者:浅子雄一郎 七沢智樹

報告日:2019/06/16

2019年6月2日、 東京衛生学園専門学校 にて開催された東京九鍼研究会主催による講座内で、治療家の石原克己先生の鍼治療を受ける際に、「三人称視点VR」の中継カメラによって施術の様子を俯瞰して映したVR映像を観ながら治療を受けたときの治療効果の変動について観察したところ、おもにVR映像を観た受け手の心的環境が整うことが示唆されました。

当日は、講座に集まった鍼灸師、鍼灸を学ぶ学生、医師の方々を対象に、石原克己先生の鍼治療を、一人3分程受けていただきました。その際、普通は見ることのできない治療中の背面をリアルタイムで映したVR映像を観ながら鍼治療を受けたときの感想を一人一人からいただき、集計しました。(東京九鍼研究会 講座受講生男女のべ34名から回答を得ました。)

左手前が、360度中継カメラInsta 360 Pro2。このカメラが、ふだんは見ることのできない治療中の背面を映し、受け手はこの映像を観ながら施術を受ける。

今回、VR映像の有り無しの体感を比較することができなかったにも関わらず、約6割がVR映像を観ながら受けることによる何等かの利点や治療効果を感じていました。

ポジティブな回答をした方のうち、25%の方は「どんな施術が行われているのかが確認できること」「施術者の視点やテクニックを学習するうえで効果的」など、施術者としての技能向上に役立つと回答しましたが、残りの75%は「治療効果」「受け手の状態」など、治療を受ける方にとって良い影響があることについて回答していました。

その中で最も多い割合で見られた回答が、VR映像を観ながら受けることによる「安心感」でした。

●「実際の治療で用いると、患者様の安心感はかなり強いと思いました。」

●「心構えができて良い。安心感がある。」

●「普通に受ける時は背中が見えないため、どうするのかと思ってしまうけど、視覚的に見えることで不安に思うことはなかったです。」

また、受け手側が安心するなど心的に整うことによる治療効果の向上についても言及した回答がありました。

●「VRを見ながらだと動きが見えるので安心します。不安がない分、治療効果が上がる感じがします。」

石原克己先生自らもVR鍼治療を体験。
「(通常の治療とは)明らかに感覚が違う」とおっしゃっていました。

「安心」という要素以外では、「客観的」に見られることによる治療効果の向上についての回答が目立ちました。

●「VRを見ながら受けているときの感覚のほうが、響きを強く感じました。」

●「何も見えずに刺されるよりもイメージができるので、効果が上がるというのが納得できた。」

●「見ないで受けるより見て受けたほうが客観的に観察できて、より納得して受けられた感じがする。より感じ入られる。」

●「視点がわかることで、新しい感覚を感じました。短時間で肩が軽くなりました。」

鍼治療に限らず、治療効果の向上という文脈では施術側の技能や状態、臨床歴等が問われるものですが、今回、VR映像によって受療側の心的変化が多く見られた点と同時に、受療側の状態が治療効果に与える影響が示唆されました。

そして、その受け手の状態がVRによって制御可能となるとき、施術が施術側と受療側の二人三脚によって行われるという治療の原点としての有りよう提示する役割を、三人称視点VRに見ることができるのです。

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