報告者 堀内達朗 七沢智樹

報告日 2018/12/10
更新日 2019/5/13

概要

今回のレポートでは “ゼロ磁場コイルからの発信”について解説する。

目次

  1. ゼロ磁場コイルの測定
    1.1. ゼロ磁場コイルからの輻射の確認
  2. 各モデルの試験条件
  3. 測定結果
  4. まとめ

1. ゼロ磁場コイルの測定

ロゴストロンが動作している時にゼロ磁場コイルにより磁場(微弱なレベルも含む)が発生しているのか、発生しているとしたらどれくらいのレベルなのかを検証するために測定を行なったので、その結果について報告する。

今回の測定も、前回30 MHz から1,000 MHzまでの周波数帯でロゴストロンLとNigiからの電磁波を測定したのと同じ設備で、外からの電磁波を遮蔽した電波暗室で行なった。[写真1]

測定周波数帯は、ロゴストロンで構文を1倍速で発信する時の周波数から最大1300倍発信での周波数をカバーする20 Hz 〜5 MHzで実施した。

一般的に0 Hz〜300 Hzの帯域を「超低周波電磁界」、300 Hz〜10 MHzの帯域を「低周波/中間周波電磁界」、10 MHz以上を「⾼周波電磁界」と分類するが、今回測定した周波数帯は電界と磁界からなる電磁波の中で電界より磁界の占める割合いが多くなる周波数帯である。

写真1

1.1. ゼロ磁場コイルからの輻射の確認

図1、写真2、写真3及び写真4は、最初に実施したコールドフュージョン CFB35kHz(以下CFB)を測定した際の機器配置を示したものである。

まず、コイルからの輻射があることを検証するために、外付けゼロ磁場コイルを測定テーブル上に設置し、そこから貫通孔を通した接続ケーブルを測定室地下ピットに設置したCFB本体に接続した。

図1

このようにすることで、本体から電磁波(低周波磁界)の輻射があった場合でも金属床面に遮られてアンテナで測定されることはないので、ゼロ磁場コイルから輻射する成分だけを切り分けて測定することが可能となる。

なお、厳密には測定室側に出ている接続ケーブルから輻射もあり得るが、ケーブルを木製棒で揺すっても測定レベルの変動がないことからケーブルからの輻射はないと判断した。

写真 2 (地下ピット)

写真3 (電波暗室内)

2. 各モデルの試験条件

ゼロ磁場コイルからの輻射が確認された後、標準ループアンテナ又は微小ループアンテナ用いて(1)のCFB及びロゴストロンの5モデルの測定を行なった。

なお、測定に使用した再生構文の試験信号は、各モデルともロゴストロン言語周波数データの中でパルス幅が一番短い父韻と一番長い母音の組み合わせである「ちゅ」が連続しているデータを用いた。

図1試験信号「ちゅ」の信号波形

写真4(メビウスコイル)

写真5(ゼロ磁場コイル)

なお、(1)CFBと(2)Möbius Ampireについては、外付けメビウスコイルを、(3)ロゴストロン K100については、外付けのゼロ磁場プレートコイルを接続して実施した。

また、いくつかのモデルでは微弱な輻射レベルのため規定の測定方法と測定距離では測定できないケースもあったため、輻射している周波数を確認するためにアンテナに近づけて測定したり、アンテナの直下に設置して通常とは異なる特殊な測定を行なった。

3. 測定結果

(1) Möbius Ampire 75000

① 測定配置(標準ループアンテナ/測定距離:1m)

②周波数帯域:9 kHz – 500 kHz

③周波数帯域:150 kHz – 5 MHz

(2) CFB

① 測定配置(標準ループアンテナ/測定距離: 1m )

② 周波数帯域:9 kHz – 150 kHz

③ 周波数帯域:150kHz – 5 MHz

Möbius Ampire及びCFBとも12V(Vp-p)の矩形波を最大1300倍速で再生していること、構文再生周波数を35 kHz平均化処理していること、メビウスコイルを使っているという共通点からほぼ同じような周波数波形の分布がみられ、9 kHzから最大2.3 MHz までは、多くの高調波(基本波の倍数の周波数の電磁波)が出ていることが分かる。測定された電磁界強度レベルは、アンテナ係数で補正後の最大値で Möbius Ampire が63 dB(μV/m) @480kHz、CFBが58.9 dB (μV/m) @170 kHzであった。

レベル差は、内蔵アンプの違いによるものと考えられる。

(3) ロゴストロン K100

① 測定配置 (標準ループアンテナ / 測定距離:0m )

ゼロ磁場コイルからの輻射が測定距離1mでは捉えきれないため、ループアンテナの中にコイルを設置して測定。

② 周波数帯域:9 kHz – 150 kHz

③ 周波数帯域:150kHz – 5 MHz

ロゴストロン K100は、100倍速で構文再生するモデルであるが、10 kHz辺りから70 kHz周辺にかけて電磁界レベルの高い高調波が集中しており、それ以上の周波数では最大でも1.3MHz近辺までの高調波に止まっていることが分かる。

コイルをループアンテナ内に設置した特殊な測定方法であるため他の測定結果と直接の比較はできない。

(4) BETTEN

① 測定配置 (標準ループアンテナ/測定距離:30 cm )

輻射レベルが小さいため30 cm距離に近づけて測定。

② 周波数帯域:9 kHz – 150 kHz

③ 周波数帯域:150kHz – 5 MHz

BETTENは、3.3V(Vp-p) の矩形波信号をMöbius AmpireやCFBと同じように最大1300倍速で再生していること、構文再生周波数を35 kHz平均化処理していること、メビウスコイルを使っているという共通点から、全体的にほぼ同じような周波数分布がみられる。

測定距離が30 cmのため規定距離1mで距離換算した後の電磁界強度レベルは最大値が、24 dB (μV/m)@10 kHzとなった。

但し、本体とコイルが分離できず、輻射源の切り分けができていないため、コイルではなく本体やACアダプターからの輻射の可能性もある。

以下、(5)nigi、(6) ロゴストロン Lも同様である。

電界強度は距離の二乗に反比例するため、距離が約1/3になった場合は、電界強度は約1/9= -19dBとなり 換算前43 dB(μV/m) -19dB= 換算後24 dB (μV/m)となる。

(5) Nigi

① 測定配置 (標準ループアンテナ / 測定距離:0m )

ゼロ磁場コイルを含めた本体からの輻射が規定距離のアンテナでは捉えきれないため、ループアンテナの中に本体を設置して測定。

② 周波数帯域:9 kHz – 150 kHz

③ 周波数帯域:150kHz – 5 MHz

nigiもゼロ磁場コイル含めた本体からの輻射が規定距離の測定では捉えきれないため、ループアンテナの中に本体を設置して測定を行なった。3.3V(Vp-p) の矩形波信号をMöbius AmpireやCFBと同様に最大1300倍速で再生し、構文再生周波数を35 kHz平均化処理しているところは同じであるが、発信部を含めた回路構成が異なることや、コイルが直径2 cmの小型ゼロ磁場コイルであることから輻射の周波数分布が少し異なっており全体的に輻射レベルも低めである。

特に150 kHz以上では高調波も少なく、レベルも極小となっている。

なお、nigiも100倍速のK100同様に特殊な測定方法であるため、他の測定結果と直接の比較はできない。

(6) ロゴストロン L

① 測定配置 (微小ループアンテナ / 測定距離:7 cm )

輻射レベルが小さいため30 cm距離に近づけて測定。

1倍速機であるため下限周波数20 Hz-仕様の微小ループアンテナをMIL規格の条件の7cmの距離に設置して測定。

② 周波数帯域:20 Hz – 10 kHz

③ 周波数帯域:10 kHz – 50 kHz

ロゴストロン Lは、1倍速で試験信号を再生したため、オリジナルの発信周波数辺りの20 Hzから高調波となる50 kHz近辺までの周波数範囲で測定を行なった。

オリジナル周波数が超低周波数帯であることと、非常に微弱なレベルであることから軍事規格の測定で用いる微小ループアンテナを用いて7 cmの距離で測定を行なった。

電界強度レベルは、アンテナ係数による補正後で、最大値 9.2dBuV/m@12 kHz であった。

4.まとめ

以上の結果より、ロゴストロン各モデルからは、低周波の電磁界放射がされていることが分かった。また、その放射レベルは、K100、 nigiを除いて測定値の順にMöbius s Ampire > CFB > BETTEN > ロゴストロンL であった。

K100と nigiについては、放射レベルの確定はできなかったが、同じ測定条件で放射レベルが、K100 > nigiであることと、発生波形の電圧値は100が5 V(Vp-p)、BETTENとnigiが3.3 V (Vp-p)であることから、K100 > BETTEN > nigiの順になっている可能性がある。

今回の測定により、ゼロ磁場コイルからは20Hz近辺の超低周波数帯から2.3 MHz(230万 Hz)の中間周波数帯の磁界成分が優勢な周波数帯で電磁波が放射されていることが分かった。

次回のレポートでは、各周波数において実際にどういう信号がコイルから放射されているのか、その中味について、今回測定した結果に基づいて解説していきたいと思う。

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