報告者 成田泰士 渡邊真輝子 七沢智樹

報告日 2018/06/29

概要

デジタル・メディテーション(d.M)とは、日本古来の瞑想法と最新のデジタル・テクノロジーを融合し、neten Inc. によって開発された瞑想法です。

本レポートでは、6月24日に開催されたd.M Labo Meetingより、当日の振り返りと、システムコーチングの心理作用を主に考察していきます。

目次

1 はじめに
2 システムコーチングの心理作用
 2.1 振り返り
 2.2 システムコーチングの目的とその効果
 2.3 セッション1:身体を使った非言語ワーク
 2.4 セッション2:絵で内面を表現する非言語ワーク
 2.5 セッション3:決意の言語化
 2.6 d.Mとシステムコーチングとの相互作用
 2.7 今後の可能性

1 はじめに

6月24日にd.M Lab Meetingが開催されました。d.M Lab Meetingでは、d.Mの更なる普及を目指し、臨床・カウンセリンング、コーチングへの応用を目的としています。今回は、システムコーチングにおける臨床メカニズムを中心に述べていきます。

2 システムコーチング(※1)の心理作用

2.1 振り返り

今回のd.M Lab Meetingにおいて、セッション1では、「イソノミヤ」という概念に対する3つの非言語ワークが行われました。

ワーク1:「イソノミヤ」という言葉を書いた紙を中央におきます。「イソノミヤ」にどのくらい興味があるかを、自分の立ち位置で表します。その際、自分がどこに立つ(座る)ことがしっくり来るか、その度合いを物理的な距離で表します。

ワーク2:「イソノミヤ」実現に向けて、自分がどれだけ行動できているのか、現在の関わり方をワーク1と同じように、体の位置・姿勢で表現します。

ワーク3:「イソノミヤ」に対する自分の理想の関わり方を同様に、体の位置・姿勢で表します。

それを踏まえて、各自が「イソノミヤ」に対して描いたイメージを漂わせながらd.Mを20分行いました。

セッション2では、「イソノミヤ」を生命体として捉え、そのイメージを絵に描きました。その際、「イソノミヤ」という生命体は「どんな状態」で、「何に苦労している」のか、「今必要としているものは何か」を合わせてイメージしながら描きました。その後、円状に各自の絵を並べ、ひと通り見終えてから、数名の方が自分の絵をどういう意図で描いたかを説明し、再度20分のd.Mを行いました。

最後のセッション3では、「イソノミヤ」実現に向けて各自の決意を宣言しました。

(※1) コーチングは一対一が基本となっていますが、システムコーチングとは、2人以上の人間によって成立する関係性すべてを想定し、組織のダイナミクスを生かした、関係性のシステムワーク

2.2 システムコーチングの目的とその効果

一般的に、コーチングは「促進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの気づきを促し、自発的な行動を支援すること」を大きな目的としています。大抵の場合、その回の最後に今後(継続的に行われるものであれば次回までに)どのような行動を取るのかを明確にすることが一つのゴールになります。その前提の下、各セッションがどのような意図で組まれ、どのような効果を及ぼしていたのかを考察していきます。

今回のセッションで行われたことの大きな意義としては、①無意識(潜在意識)下にある対象への本音・本心を意識の上に浮上させ、②それを言語化により定着させるとともに、③その本音に基づいた行動を促す、というものでした。

2.3 セッション1:身体を使った非言語ワーク

最初に、セッション1は言葉を使わず身体で自分の内面を表現する、というものでした。認知行動科学(認知行動療法)では、「認知」「感情」「行動」「生理」が互いに密接に関係しあっており、どれかひとつでも要素が変化すると他の要素にも変化が生じるとされています。今回のワークではこの仕組みを機能させることを目的としていました。

受講生は中央に「イソノミヤ」と書かれた紙に対して“うろうろ動き回り”、自分が“しっくり”来る場所でしっくりするポーズを取るよう求められました。これは「行動」の変化(動き回る)に加えて、「生理(感覚)」の変化を誘導するものでした。

更に、場所が決まった後、講師から「今どのような“気分”か」と「感情」の変化にも意識が向けられるよう問いかけが行なわれていました。このような状況下では、必然的に「認知(思考)」の変化も生じやすくなると考えられます。

また、「イソノミヤ」に対する「理想」と、「現実」をそれぞれ中心に置かれた棒と身体との距離や位置で示しました。先述のとおり、「感情」「行動」「生理」を巧みに刺激しつつ、ここでは理想に対する自分の現実という問題提起が、各自の内に非言語のまま落とし込まれる仕組みになっていました。言語化されたものは、意識のフィルタを通るため、通常自分に変化を求める要素は何かしらの理由をつけて除外されがちですが、非言語の形を取っていたため、無意識に入りやすかったと思われます。

加えて、ここでは一貫性の法則による方向付けも利用されていました。先に理想の形を自分なりに示したことにより、現実とのギャップに対して整合性がとれるよう、そのギャップを埋めるための思考が自動的に生じるようになっていました。

このほか、セッション中、参加者が自分の適切な位置を探し歩いている最中に「良い悪いはない」、「他人と比較しない」、「ここは安全な場」というような言葉が講師から投げかけられていました。ここにもヒトの脳の構造を上手く利用した仕掛けがありました。

仕事などで同時並行的に様々なことをこなせる人や「ながら作業」が出来る人がいますが、厳密にはヒトの脳は意識上、同時に2つ以上の情報処理ができないということが証明されています(※2)。

ではオーバーフローした情報はどうなるかというと、意識を素通りして無意識に投げ込まれると考えられています。我々が動き回って自分の場所を探すという作業をしている間、投げかけられた言葉は我々の意識を素通りして無意識に入り込みやすかったと考えられます。その結果、上述のような言葉がすっと入り、より自分の心に自然と向き合え、自己開示がしやすくなる土壌が形成されていました。

(※2) Stanford University ” Maxi-Multitaskers’ Performance Impaired”より、いくつも同時にやっているように見えるのは切り替えが早いか効率を落としている可能性が高いと、マルチタスクの弊害について研究されています。

2.4 セッション2:絵で内面を表現する非言語ワーク

セッション2の描画は、バウムテストに代表される絵画療法の手法で、言語化されていない内面の表現が行われました。ここでは「イソノミヤ」を「生命体として捉える」「どんな状態で何に苦労している」「今必要としているもの」という絶妙な指示がありました。

生命体として捉えるのは、対象となっている課題と自己の親和性と高める意味合いがあったと考えられます。また、セッション1で得た体感覚との結びつきも意図されていたかもしれません。また、「苦労している点」「必要としている点」をイメージすることで、セッション1で無意識下に問題として

投げ込まれた「イソノミヤ」に対する理想と現実のギャップについての問題解決を探るよう方向付けられていたと考えられます。絵という非言語を使用することで、同じく無意識(非言語)にある問題の解決方法を上手くリンクするようになっていました。

また、その後、各人の絵を床に並べ、お互いに鑑賞する時間を設けました。一切の評価をしないことで安心できる場の形成を強め、次に行う自己開示(決意表明)のハードルを引き下げる効果があったと思われます。

2.5 セッション3:決意の言語化

セッション3では、「イソノミヤ」実現に向けて「決めたこと」というテーマで一人ずつ発表が行われました。セッション1で無意識(非言語)に提起された問題を、セッション2で意識(非言語)まで上昇させ、セッション3で意識(言語)に持っていくという流れによって、自然に内的動機付けとなっていました。

2.6 d.Mとシステムコーチングとの相互作用

各セッションと交互になる形でd.Mが行われました。

元々d.Mには顕在意識を抑え、相対的に無意識を活性化させる働きがあるため、各セッションで感じたことを速やかに受容、定着させる効果があったと思われます。

また、共通のテーマを持ち、そのことを頭に漂わせながらd.Mをすることで、参加者の意識(波動)が揃う(コヒーレント)状態を形成しやすく、通常よりも速やかに深い鎮魂状態に入れる効果も生んでいたと思われます。

システムコーチング側から見てもd.M側からみても効果を増加させる形になっていて、非常に親和性の高い組み合わせとなっていました。

【システムコーチングワークと鎮魂の相互作用イメージ】

2.7 今後の可能性

共通テーマが持ちにくい場、あるいは持つことを求めない場など、従来のやり方が適している場面も多々想定されます。

しかし、従来の鎮魂だけのスタイルにはなかった、「行動の変化」に繋がるという意味において、システムコーチングと融合させたd.Mを企業研修などの場に展開させることもできます。今回のセッションによって、デジタルメディテーションの新たな可能性が開かれたと言えます。

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